フラット50は今の金利では借りてはいけない?!

長期優良住宅で利用可能

住宅金融支援機構の長期固定金利型住宅ローン、フラット50。長期優良住宅の購入に利用できる新型ローンで、一部の金融機関で貸し出しが始まっています。このローンについて使い勝手を考えてみましょう。

従来の主力、フラッと35との違いは、返済期間が最大15年長く設定できる点ですが、実際には借入時点の年齢を80歳から引いた機関しか借り入れができず、50年に設定できるのは30歳までです。金利は35より概ね0.7%程度高く、物件価格の60%までしか借りられないという制限もあります。そんな点がネックになり、実際に返済額を計算してみると、単独では意外にメリットが薄いローンと言わざるを得ないのです。

まず、単純比較してみましょう。借入金額は便宜上ともに3000万円。R銀行の場合で比較すると、

フラット35 金利2.64% 毎月返済額10万9512円 総返済額4599万5313円

フラット50 金利3.38% 毎月返済額10万3675円 総返済額6220万5000円

どうでしょう。毎月の返済額はわずか6000円しか減らず、総返済額は1600万円も増えてしまいます。借入期間が長いので、基本的にはローン保証料などの諸経費も高くなり、メリットはないといってもいいでしょう。

いろいろなサイトの記事を見てみると、大体がこんな展開で、「場合によっては返済総額が増えることがあるので注意しましょう」という結論になっていますが、これらはすべて的外れ。実際には同額借りることはできないからです。そう、フラット35は物件価格の60%までしか借りられないのです。

そもそもフラット50の設計意図は、長期優良住宅で一般住宅よりも高額になる分(アバウトに)を、返済期間を長くすることで負担を軽減しようというもののように思えます。本当にそうなのか。ちょっと検証してみましょう。

上の例で、仮に3000万円を建物価格としましょう。考え方の説明なので金額の現実味が薄い点は無視してください。すると、60%相当額の1800万円までフラット50で借りることができます。↓

フラット50 金利3.38% 借入金額1800万円 毎月返済額6万2205円 総返済額3732万3000円 

フラット35と併用して、1800万円をフラット50に置き換えると、残りは↓

フラット35 金利2.64% 借入金額1200万円 毎月返済額4万3805円 総返済額1839万円

両者を併用合算すると↓

35年まで        毎月返済額10万6010円 
36年から50年まで   毎月返済額6万2205円
 
総返済額5571万3000円

ということになるわけです。フラット50を限度額いっぱいの60%借りてしまうと、月々の返済は当初35年間3000円しか安くならないにもかかわらず、50年の総返済額では1000万円も多く払うはめになってしまう。これもメリットは感じられませんね。こうしてみると、フラット50の比率を下げていっても、あまり意味はないのではないかと思えてきました。金利差がカギを握っていますね。現状のように0.7%も高い場合、フラット50を使うメリットはないのかもしれません。

結論から言うと、フラット50の金利は高すぎ。同じ金利か、それ以下でもいいくらいです。借入期間が長くなれば総返済額は増えるので、金融機関に損はありません。現状は、金融機関だけが不当に得する消費者にとって魅力のないローンといえるかもしれません。金利が35以下になったら検討する価値が出てくるローンだと思います。


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「200年住宅」の現地見学1

木質パネル工法のS×L
少々旧聞ですが、2月に「200年住宅」の現地見学に行ってきました。都内の個人宅でハウスメーカーはS×L(エスバイエル。旧小堀住建)です。これから内装工事、設備工事に取り掛かるという時期で、内部構造を確認するという主旨。30代夫婦から60代夫婦まで5組ほどが参加していました。当日の印象をつらつらとご紹介しましょう。
S×Lの住宅は、木質パネル工法を採用しています。これは構造ベニヤに2×4材を接着した構造パネルを工場生産し、現地で組み立てるというもの。構造ベニヤは屋外側の片側のみ。ロックウールの断熱材を入れ、石膏ボードを貼り、クロスなどで仕上げます。

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↑室内の壁です。この上に石膏ボードを張ります。室内壁なので断熱材は入れないそうです。

木質パネル工法のメリットは、第一に軽量なことでしょう。建物全体が軽くなるので揺れの影響が小さくなり、その結果、耐震性が高くなるのです。使用する木材も少なく、一種のプレファブですから現場での作業も在来工法より少なく、本来はコスト的にも安くなるはずです(あまりコマーシャルにも力を入れていない企業なので、相当安くなってもいいはずですが、聞いてみると正直それほどでもありませんでした。営業は研究開発に力を入れているといっていました)。

210℃以上で加熱すると木材の栄養分が壊れる
使用しているベニヤや2×4材の品質は最高品質だそうです。中でも「200年住宅モデル」の場合、2×4材にはサーモウッドという人工的な加熱(220℃)によって特別に含水率を下げた木材を使っていますが、これはフィンランド建築技術センターが開発した建材で、含水率が最大で通常の木材の半分以下。210℃以上で一定時間加熱すると、セルローズなど、木材の栄養分が壊れて、菌や虫に食われにくくなるそうです(サーモウッドは他にも使用している企業が多く、屋外でも使用できる高耐久、高耐候な建材です)。木造住宅の寿命を延ばすには、腐朽菌やシロアリの被害を受けないようにすることが重要。サーモウッドの採用も、そのための選択の一つです。

独自の壁内換気システム
S×Lの「200年住宅」の特徴は、独自の壁内換気システムでしょう。2×4工法のように密閉されたパネルだと、内部に湿気が貯まり、4~5年もすると断熱材がカビで真っ黒になるケースも珍しくありません。S×Lでは、ポリプロピレン製のスペーサー(穴あきシート)で空気層を作り、さらに2×4材に欠き込み(小さな換気口)を設けて、床下の空気がパネル間を抜け、屋根裏から外部へ抜ける空気の通り道を確保しているのです。太陽によって温められた屋根裏の空気が外に抜けることで、動力を使わずに、順に空気が上へ上へと引っ張られる仕組みですから、パッシブソーラーシステムの1種ともいえます。なかなかスマートなシステムといえますね。

次回はこの続き。

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200年住宅の意義

重い住宅取得費負担が貧しい人生の原因

国交省の進める『超長期住宅先導的モデル事業』、通称200年住宅について考えてみたいと思います。そもそも200年という数字に大きな意味は無く、25年前に提唱されるも普及しなかった「センチュリー・ハウジング・システム(100年住宅)」よりも長寿命を目差すという意味合いのネーミングだそうです。ですから200年住宅として認定されたからといって、200年の寿命を保証されたわけではなく、はっきり『何年持ちます』と宣言している企業もありません。内容はわれわれ消費者がしっかり吟味しなければいけないわけです。

とくに導入期である今は、200年住宅のスタンダードが形成される大事な時期です。天下り防止法が骨向きにされたように、200年住宅の内容が形骸化されないよう、細部にこだわって考えてゆく必要があります。その足場は、これまでの日本の住宅の短寿命を完全否定する立場に置かざるを得ません。20年30年で建替えなくてはいけないような住宅を、一生掛けて払い続けなくてはならない高額ローンで購入させられる状況を変えるチャンスです。住宅取得費を負担しなくてすむとしたら、人生はどれだけ豊かになることでしょうか。ヨーロッパでは数世代に一度、住宅を建てるというのが常識だそうです。生涯賃金2億円の会社員が4000万円のマンションを購入し、6000万円のローンを支払うのは馬鹿げた人生の浪費です。6000万円あれば生活の質を向上させ、大概の欲しいものが買え、旅行も楽しめ、老後の心配もずいぶんと解消されることでしょう。人生の質を上げるためには、まず住宅の質を上げなくてはいけないのです。

住宅を財産として代々受け継ぐ。これこそ個人が自立するための基本です。作っては壊しの粗悪品は、いかにテレビで安さを宣伝していても末路はゴミ屑。ハッピーライフは手に入れられません。100年200年と住み続けられる住宅を手に入れる。あるいは、現在の住宅をリフォームしてできるだけ質の高い長寿命な住宅に育てていく。そのためのノウハウをご紹介してゆきたいと思います。

200年住宅を実現するためのポイントは2つ。50年から100年の超長期低利ローンとメンテナンスフリーの住宅です。とくにメンテナンスフリーが重要。10年ごとのメンテナンスに100万円単位の費用がかかるなら、それは建て替えたほうが安くつく。そうでしょ?

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ヴォーリズの住宅。旧駒井邸その2

執筆が進みそうな書斎です

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駒井教授の書斎↑は2階の角部屋です。南と西の大きな窓からの日差しが入る光の具合が絶妙で、執筆が進みそうな雰囲気を持った部屋です。とくに西面の、机の正面の窓の高さが机と同じで、手元が明るく、また開放感があるのです。
机の後ろ側の壁には聖書や聖母のイコンが飾られた祭壇のようなスペースがあります。↓

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その右手には2階のサンルームへの扉があります。このサンルームは、元々はベランダだったものをリフォームしたものだとか。執筆に飽いたらちょっと一休みするには絶好のスペースです。正面にはヴォーリズ住宅によく植えたという大王杉が聳え立っています。↓

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来客が多かった駒井邸では、パブリックスペースとプライベートスペースをドアノブの色で区別しています。パブリックは紫、プライベートは透明。てっきりガラスだと思っていましたが、ある本によると水晶だそうです。本当なんでしょうか。かなり大きいのですが…↓

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ヴォーリズの住宅は作り付けの収納が実に豊富です。そしてその配置が細やか。下は玄関脇の引き出しで、靴磨きの道具が入っています。靴箱は、玄関の腰板をずらすと現われるのですが、言われないと気付きません。2階の廊下の天井が屋根裏部屋への階段になっていて、寝室の壁のハンドルを回すと下りてきます。その寝室のタンスも作り付けですし、ウォークインクロゼットも設けてあるのです。ですから、収納家具で部屋が狭くなるということがありません。

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キッチンもヴォーリズがとくにこだわったポイントです。家の設計は台所から始めるべきだという持論を、著書「吾家の設計」「吾家の設備」で繰り返し強調しているのです。明治、大正期にはもちろん、今でも革新的な発想ではないでしょうか。残念ながら、駒井邸の台所は大分リフォームされていて、流しなどは現代の工業製品に交換されていましたが、勝手口の外からのこのアングルだけは、当時のキッチンの様子を留めているようです。↓

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ヴォーリズの住宅。旧駒井邸その1

京都の北白川にあります。

雑誌「Tinngal」の取材で、京都の旧駒井邸を取材してきました。軽井沢の朝吹山荘と同様に、W.M.ヴォーリズの設計です。駒井さんは京大教授で遺伝学の権威。三毛猫はほとんど雌ということを証明した(んだとおもいます)逸話で有名です。奥様がヴォーリズの妻満喜子夫人と大学で同窓だった縁で、ヴォーリズに設計施工を依頼したのだそうです。

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駒井邸はなんといっても「窓」の表情が豊かで、室内に入ると、光の入り具合が絶妙でした。リビングに作り付けのソファースペースは東向きの出窓になっていて、午後には直射日光は入らず、しかし明るく、読書するのに絶妙の按配なのです。座るとしばらく立ち上がりたくなくなりますよ。↓

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それと1階のサンルームも実に居心地がよさそう。朝食は完全にここで取りたいですね。↓

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1階のトイレが階段室の下にあって、こんな可愛い窓がはまってます。↓

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その階段室がまた見事。段が低く幅が広い。ヴォーリズ住宅は住宅の規模に対して不相応に階段室が広いといわれるのですが、存在感は抜群です。しかも駒井邸の階段室には仕掛けが。大きな窓には黄色い磨りガラスが入っていて、西日が当たる夕方には、階段室が黄色い光線に染まるのです。ちょっとした教会のステンドグラスです。

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階段の手すりはまるで二段の滝のような曲線が美しい!。

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続きはまた明日。

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ヴォーリズの軽井沢

朝吹山荘と浮田山荘の好対照

建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの朝吹山荘を見てきました。塩沢湖の軽井沢タリアセンに移築され、公開されています。

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廊下や階段の幅がゆったりと取ってあり、1階の天井高は3メートルほどもあり、1室の広さもゆったり。結局こうした余裕が、居心地の良さを産むのだなと実感しました。

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1階の大ホールや階段などのパブリックスペースのほかには天井からの照明は無く、夫妻の寝室と3人の子供部屋の照明はすべてフロアスタンドだった点が印象的でした。それと格子の引き上げ窓。1枚板の大きな窓よりも、味があります。

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2階の床下には遮音と断熱の目的で、おが屑が敷き詰めてありました。これがヴォーリズ建築の特徴のひとつだそうです。当時の日本では先進的なホスピタリティーの考え方です。

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サガンやボーヴォアールの訳者、朝吹登水子さんが子供の頃から晩年まで、避暑や執筆のために滞在した別荘で、昭和初期の軽井沢を代表する大別荘です。そして、もうひとつのヴォーリズの軽井沢が浮田山荘です。

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ヴォーリズ夫妻が新婚時代に夏の間滞在した最小限の別荘で、完成は1922年。その後、洋画家の手に渡り、今もその夫人によって使用されているとか。86年間現役ですよ。すごいです。思い出もあるのでしょうが、それにしてもよほど居心地がよいのでしょうね。

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ヴォーリズの住宅について。その2

軽井沢や野尻湖畔の別荘に味がある

ヴォーリズの率いた建築事務所が手がけた住宅の多くは、華族や大富豪、大学教授などの富裕層が施主だったようです。人と違った住宅にステイタスを求めるこうした富裕層に、アメリカのコロニアル・スタイルやスパニッシュ・スタイルの洋館が受けたという側面があるようです。工事費に糸目をつけないケースが多かったので、構造は非常に堅固で、それが80年以上も建物が残っている一因なのだと思われます。

一方で、ヴォーリズの住宅の真髄は、もっと小さな、一般庶民の住まいに近い建物の中に顕著です。軽井沢や野尻湖畔の外国人別荘村に今も残る木造の小さな別荘を、ヴォーリズは数多く手がけています。その中でも一際異彩を放つのが軽井沢の浮田山荘。元々は結婚間もないヴォーリズ夫妻が自らのために立て、『九尺二間』と呼んだ極小の別荘です。これは縦横3間×3間(1間=約1.8メートル)の正方形の平面を持つ平屋建てで、床面積は約30平方メートルしかありません。その半分をリビングダイニングが占め、残りを備え付けの2段ベッドのある小さな寝室と最小限の台所がスペースを分け合う間取りなのですが、写真を見ると実に心地のよさそうな空間なのです。使い勝手を熟慮して作った、無駄は無いけれど、ゆとりがあるとでも表現したくなる住宅です。

これを見て直ぐに思い浮かぶのが『9坪ハウス』でしょう。戦後間もない日本で誰もが持てる住宅として、建築家増沢洵氏が建築した自宅「最小限住宅」の現代版です。おそらく「最小限住宅」自体が、ヴォーリズの「九尺二間」から発想を得たものだったのではないでしょうか。そして「九尺二間」も、ひょっとするとわが国伝統の庵文化に発想を得たものなのかもしれません。鴨長明の方丈、あるいは芭蕉の庵、千利休の茶室などを一回り大きくしたのが「九尺二間」の原型だったのではないか。

以前にこのブログで「リゾート版方丈庵のすすめ」のような記事を書いたことがあるのを思い出しました。80年も前に実現していたのですねえ。軽井沢は高級別荘地になり、バブル期に立てられた大型の別荘が半値以下で売りに出されていたのが10年ちょっと前です。その片隅で、80年以上目の小さな小さな木造別荘が未だに個人宅として使われているという事実。それを思うと、今の住宅には工夫と配慮が足らず、いらないものが多すぎるといえるのかもしれません。

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ヴォーリズの住宅について。その1

大正期のキリスト教伝道師で素人建築家ですが…

ウィリアム・メレル・ヴォーリズってご存知でしょうか。もちろん知ってらっしゃる方も多いと思います。1905年にキリスト教伝道の使命感に燃えて来日した英語教師で、その後、熱心な伝道が原因で教師を辞めることに。08年からは建築事務所を開いて、欧米の近代建築を日本に伝えた素人建築家で、メンソレータムを日本で販売し始めた人としても知られる。日本人と結婚し、帰化もしています。素人建築家とはいいますが、関西学院大、神戸女学院をはじめとする学校建築、大丸ピーコック、山の上ホテルなどの商業施設、日本各地に残る教会、西洋館、軽井沢や野尻湖の別荘群。日本の建築文化に残した足跡は、フランク・ロイド・ライトに勝るとも劣らない巨大な偉人だと思います。

ヴォーリズ師の著作が興味深いのですが…

で、本題ですが、今度、ある雑誌でヴォーリズ師の西洋館を取材することになりまして、色々と関連書籍を読んで下調べをしていましたら、その住宅に関する設計思想には教えられるところが多く、魅せられてしまいました。師が残した著作は3冊ありまして、『吾家の設計』『吾家の設備』『失敗者の自叙伝』。前の2冊は1923年、24年と80年以上も前のものなので、国会図書館にもフィルムの形でしか残っていません。公立図書館では中央区図書館に前2冊の現物がありますが、無論襟帯本でコピーも不可。残念です。『吾家の設計』は幸い、千歳烏山の住総研図書館に現物があり、半分までコピーができます。内容は今読んでも啓蒙的なので、もっと多くの方に読めるようにしたいのですが。復刻できないものかなと考えたりしております。

本題にといいながら、前振りで終わりますが、師の著作を読んでの感想、発想をちょっとメモしておきたくなりました。明日以降、お付き合いいただければ幸いです。

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新築マンションが売れない市況について

バルクセールで次の現場って…

新築マンションが売れません。理由は高いから、購入者がいないから、マンションの安全性に対する不信感が払拭できていないから。売れないのでまとめて買取業者に半値で処分し(これをバルクセールという)、それでできた資金と人材を他の現場に注力するケースが増えているのだそうです。売れない状況は変わらないのに、他の現場に注力って、どういう末期的発想ですか。

デベロッパーの売ったらさようなら、という発想がすでに時代にマッチしていないのではないでしょうか?次から次へと新しい、無知な購入者が市場に現われる時代は終わりました。マンション価格への不信感も広く一般に浸透しています。企画から施工、完成後の管理まで一貫して責任を持って面倒を見るようなビジネススタイルが、マンション業界にも求められているのでは? そうした展開をしている企業のマンションは普通に売れているように思うのですが。

今、1000万円値引きされても、買いたくない。買うのが躊躇われるという新築マンションが巷に溢れています。こうした物件を買うならば、まず徹底的に調査をするべきで、完成前に買うのは絶対にお勧めできません。たとえば、一級建築士事務所が購入希望者を募り(あるいは依頼を受け)、構造設計や施工を第三者の厳正な目で調査報告する、改善すべき点は工事監理する、最適な長期修繕計画の立案と見直し、その施工監理まで面倒見るというビジネスが必要なのかもしれません。

単なる住宅性能表示制度では、調査したという実態が見えず、また第三者として責任持って対応してくれる人の顔が見えないので、信頼する気にならないのです。マンション管理士という職業がありますが、さらに「マンション鑑定士」の機能も必要でしょう。マンションに特化し、その住環境の向上に本気で取り組んでいる建築家をちょっと探してみようかと思っています。

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新築マンションが売れない理由について

東洋経済の特集を読んで

週刊東洋経済10/4の巻頭大特集「不動産・ゼネコン・マンション大激震」という記事を読んでの感想です。記事では、新築マンションの売れない理由をさまざまな立場で説明していますが、もっとも根本的な理由が抜けているような気が…。すでに首都圏で140万戸以上の中古マンションの在庫があり、最大の需要層だった団塊ジュニアが「いずれ親の家に住めばいいんだから借金して買わなくてもいいじゃん」と気付いた今、マンションの数が需要を大幅に上回っているのじゃないですか?景気の良かった外資系投資銀行というビジネススタイルも絶命したことだし、高額すぎる新築マンションを買うような奇特な人はもうそんなにはいないような気がします。放っておくと、これからマンションの大ババ抜き大会が始まりそうです。何か方策を考えて、流通か利用を活性化しないとスラム化が進む怖れがあります。

海外の富裕層の需要に期待する向きもあるようですが、管理の面では課題が山積でしょう。まずコミュニケーションと生活習慣、個人の権利意識のズレの問題を解決しないといけません。まあ、購入といっても一部の都心立地か観光立地(ディズニーランド周辺とか?)に限られるとは思いますが。

マンションに別の用途を見つけるか、再開発するか。余っているわけですから、利便性の悪い(バス便)物件や危険な旧耐震基準の物件は、住宅としての利用をやめて、震災対策施設に転用するとか、緑地化するとか。あるいは老人ホームや、若者の自立支援施設に転用するか。あるいは都市型霊園、野菜工場という手も。
とにかく一般住宅以外の選択肢をモデルプランとして提示することが大事ですね。そうすれば軟着陸できるような気がします。

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塗るだけの防火塗料

ファイヤーディレーF4
ジャパンホームショーの気になった商品紹介第2弾は、表面塗布型防火塗料「ファイヤーディレーF4」です。
厚さ5.5ミリのベニヤ板に原液で100g/㎡塗布すると、㈶日本防炎協会の防炎合板規格に合格するとか。
水溶性のアクリルウレタン系塗料で、F4の名のように、シックハウス症候群の原因物質の放散は最低レベルのようです。試料にガスバーナーで炎を吹き付けてみました。実際のところ、未処理の板に火を吹き付けても表面が炭化するのと違いは分かりませんでしたが…。

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防炎合板の規格とは?
日本防炎協会とは聞かない名前です。総務省消防庁の外郭団体で平成16年9月に確認団体として認可を得たようです。防炎合板の規格とは、消防法の定める防炎性能を満たす合板という意味で、下表のような性能を持つようです。45度に傾けた合板を下からバーナーの長さ65ミリの炎で2分間燃やし、残念時間10秒以下、残じん時間30秒以下、炭化面積50平方センチ以下であることを示すようですが、これが何を示しているのかは依然不明のまま。本当に分かりにくいですね。消費者の視点が皆無です。
ファイヤーディレーのパンフ中の写真によれば、10分間バーナーで燃やし続けて、塗装済み試料は表面が白く炭化、未塗装の試料は炎が上がっています。塗膜が燃焼する際に水蒸気が発生し、発熱量が抑えられるのだとか。あくまでもディレー(遅延)で不燃ではありませんが、10分ちょっとの差が生死の分かれ目になることはありそうです。簡単にDIYで塗れそうな点がメリットですね。既存木造住宅の防災対策として一考の価値ありの商品です。

Boensikenn

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ジャパン・ホーム&ビルディングショー取材1


見どころの多い展示会でした
少し前の話になりますが、11月17日に「ジャパン・ホーム&ビルディングショー2006」を取材してきました。そこで見つけたエコロジカルな商品、別荘ライフに役立ちそうな商品を何回かに分けて紹介します。都合が付かず、17日の午後だけしか会場に足を運べなかったのですが、見どころは非常に盛りだくさんで、2日は通うべきだったというのが正直な感想です。
まず、全体としては中国をはじめとするアジア各国の建材、住設機器メーカーのコストバリューの高そうな商品群と乏しい人材、カナダやフランス、ドイツといった欧米森林大国の完成度の高い商品と大掛かりな出展ブースが対照的でした。とくにアジアの建材・建具類は欧米や国産と同等の加工精度で、価格も魅力的という印象です。
これに対して、日本の商品は高級感を前面に打ち出す方向で商品開発、あるいはプロデュースされている傾向が顕著。なかには芸術の香りのするセンスのいい建具などもありましたが、国内有名木材産地の銘木関連商品は押しなべて単に高価という印象しか受けませんでした。
自ら限定された高級マーケットに特化する道を選んだという印象ですが、正直なところ購買意欲は刺激されませんでした。高い理由が見えないというか、腑に落ちない。こんな高い材料使っても、日本の家なんてたかだか30年しか持たないだろ?とどこかで思ってしまうわけです。これは産地だけの責任というよりも、住宅の寿命に対する不動産・建設業界のスタンスの問題ではないでしょうか。要するにスクラップ&ビルドで儲けようという姿勢に問題がある。
有名なジョークに「男の幸せとは、アメリカの家に住み、…中略…日本人の妻を持つこと。不幸せとは、日本の家に住み、…中略…アメリカ人の妻を持つこと」というのがありますよね。他には中国人のコックとかイギリスの食事とか、フランス人の愛人とかも絡んでいたと思いますが、要するに日本の住宅事情はお寒いばかりで、地球規模で笑いものにされているということです。
その責任の大半は住宅メーカーや工務店にあり、高金利のローンを貸す金融機関にあり、自分でも納得のいかない商品を言い値で買う消費者にあるわけです。少々筆が滑りましたが、20年近く住宅関係の記事を書いてきた本音でもあります。高いと思ったら買わない。あるいは値引き交渉する。品質に偽りがあれば訴訟を起す。すべての住宅購入者がそうすれば、日本の家は安くいいものになるのですが。

本題からそれたままで長くなりましたので、気になった商品の紹介は明日以降に。

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